ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Stories 6  (ストーリーズ 6)   

How did "CBM" get its start? (CBMはいかにして誕生したか?)

Stories 6₋11   セクション 11     Re-pressed "Shea The Good Old Days"

                                                                                                                             (リプレスされた 「Shea the Good Old Days」)


   セクション6 においてリストした「Shea the Good Old Days」は、全く異なる仕様でもプレスされていた。

↑写真上:SHGO3  タイトル「THE BEATLES SHEA STADIUM LIVE STEREO」はレッドでスタンプ押しされている。

↓写真下:SHGO4 こちらはブラックのスタンプ、どちらもディスク・レーベルは字体は異なっているものの、「Shea The Good Old Days」というタイトルの羅列である。そしてSHGO4の最大の特徴は曲目などがブルー印刷されていることである。

 それは、SHGO1 / 2 と同一のスタンパーでプレスされているものの、仕様は異なっている。まず、カバーはスタンプ・カバーで、そのスタンプもほぼ正方形のゴム印「THE BEATLES SHEA STADIUM LIVE STEREO」と3行に分けて制作されている。またディスク・レーベルも基本のデザインは同じなのだが、斜体ではなくなり、太字のフォントとなっている。

             それぞれのディスク・レーベル  →         写真左:SHGO1 / 2           写真右:SHGO 3 /  

 レーベルの形状は、SHGO 3 / 4 はセクション 9 及び 10 で解説した、ワデル・プラントにおけるダブル・リングの形状である。ディスク・レーベル上では「Shea The Good Old Days」というタイトルの羅列であるにも関わらず、タイトルを含めたカバー仕様に違いがある。なぜ、SHGO 1 / 2 とはこのような違いが生じたのであろうか?

これらSHGO3/4は、LRSのカバーを使用したSHGO1/2のプレスに比べると圧倒的に枚数は少ない。

しかしながら断片的ではあるものの手掛かりはある。

↑写真:左側の最上段は「Shea the Good Old Days(SHGO1/2)」にプリントされた「contra-band Music」の文字。その下の「GET BACK TO TORONTO THE BEATLES」は(GTRO08)のスタンプ・ロゴ。上段中央と右は(SHGO2)のフロントとステッカー。写真下段の左側はSHGO4のスタンプ・ロゴ、下段の右側は同じくSHGO4のフロントのミメオグラフ印刷。

 まず着目したいのが、カバーのスタンプである。この一番上の「THE BEATLES」のロゴはどこかで見覚えがある。

これは「Get Back To Toronto(GTRO08)」のスタンプと同じものなのである。ということは同じ(スタンプを制作する)業者によってほぼ同時期に作られたスタンプである可能性が高い。写真上:左側、共に上下段

 次の着目点はディスク・レーベル。字体こそ異なっているが、基本的なデザインは変わっておらず、「Shea The Good Old Days」というタイトルの羅列も変わっていない。そこから考えられることは、このプレスはSHGO 1 / 2のプレスと時期を異にして、連続して行われてたことを意味している。しかし、SHGO 1 / 2におけるLRSのカバーは使用されず、その上タイトルが変わった。ということは、同一のブートレッガーがリイシューしたという可能性よりも、追加プレスされた分を別ブートレッガーがカバーとタイトルを代えて制作したとも考えられる。

 最後の着目点はその可能性を多分に伺わせるSHGO4に見られる曲目の印刷である。その印刷は小さく薄いブルーのインクでタイプ打ちしたようにも見える。

 この印刷はカバーを制作した人物とは異なる印象を受ける、なぜならばタイトルが「Last Live Concert」となっておりフロントのスタンプにあるTHE BEATLES SHEA STADIUM LIVE STEREOとは書かれていない。そして曲目とトータルタイム、レコード番号はSHGO2に貼られていたステッカーからそのまま写したように思える。写真上:右側、共に上下段

  そして、SHGO1/2にはContra-band Musicとフロント・カバーにプリントされているが写真上:左側上SHGO4にはタイプ打ちで「CONTABAND MUSIC」とあり写真上:右側下、MUSICの前が全角で一文字以上あいているのは、やはりそれを真似して打ったようだ。つまりこの部分を印刷した人物は、このカバーとは無関係にSHGO2を手に入れ(あるいは渡され)そこからの情報を頼りに、この印刷部分を制作したように思えるのである。

 そもそも、このタイプ打ちされた印刷は何であろうか? これはスタンプではなく、実はミメオグラフ(Mimeograph)印刷という印刷方法なのだが、初期のCBM盤に時として見られる大きな特徴なのである。

 このSHGO1~4までの「Shea The Good Old Days」は「Get Back To Toronto」との共通点も多いことと、どちらもCBMの影がちらつくのである。

 セクション10ではGet Back To Torontoの特徴をあげたが、そこにこのShea the Good Old Days(SHGO1~4)の特徴を当てはめてみると下記のようになる・・・

セクション10より

Get Back To Torontoの特徴 

1. Rainboでラッカー盤を制作した      

2. ほとんどのプレスがワデルで行われた   

3. カバー制作はLRS内部の人物が手掛けた    

4. 数々のコピー盤も作られが、Fakeレーベルを作ったのはCBMのみ    

5. レアな黒スタンプのみによるカバー盤があり、CBMはそのFake(ブート・オブ・ブート)盤を制作した

上記の特徴1から3までは Shea the Good Old Days(SHGO1~4)も同じくあてはまる。

そして特徴 4 と 5 について、Shea the Good Old Days(SHGO1~4)においては

・ 明確に「contraband music」という社名がプリントされている

・ ディスク・レーベルはCBMの特徴でもあるタイトルの羅列がプリントされている

・ SHGO4においてはCBM特有の特徴ともいうべきミメオグラフ印刷がされている

・ SHGO 3 / 4 のスタンプ・ロゴはGTRO8のものと同じである

ということが挙げられるだろう。

ということは・・・ひとつ推測が成り立つ、それは「Shea The Good Old Days」(SHGO1~4)と「Get Back To Toronto」は同一のブートレッガーによるものか、あるいは共通の人物が関わっていた可能性、そしてその人物は、後に東海岸で「CBM」を名乗る人物と、1970年から71年までに接点があった可能性である。

 

 ここで、ミメオグラフ(Mimeograph)印刷について話を戻し、少し解説したい。なぜなら初期のCBMを知る上で重要なポイントであるからだ。

 ミメオグラフは日本では謄写版印刷と呼ばれ、その昔はガリ版印刷とも呼ばれた。ガリ版印刷というとより身近に、懐かしい響きを感じる方も多いかもしれない。

 それは原紙と呼ばれるものに鉄筆で書き込み、書いた部分にはインクが入り込んで印刷されるというものである。昭和の時代では当たり前のように学校などでよく使用された。

 ただしかし、CBMが利用したタイプ打ちのものは日本では珍しい。これは謄写印刷の中でもタイプ孔印刷と呼ばれるもので、原紙をタイプ・ライターに備え付け、タイプ打ちし、穴が開いた部分にインクが入り印刷されるものである。1950年代に日本でも製造されたようだが、欧米ほどは普及しなかった。

そしてこのタイプ孔のミメオグラフ印刷は、初期にプレスされたCBMのカバーに時に見受けられるのである。

 私が今までに確認したミメオグラフ印刷がしてあるCBMブートレッグのタイトルは以下の通りである。

1. George Harrison, Bob Dylan / Concert For Bangladesh

2. Jimi Hendrix Experience /  Eric Clapton, Ginger Baker, John Mayall, Jack Bruce

3. Neil Young / Rocky Mountain Review

4. Beatles /  SHEA STADIUM LIVE STEREO

5. Beatles / Don't Pass Me By

1~3までは下にまとめた。4は既にこのセクションで解説したとおりである。

↑写真上: MADISON SQUARE GARDEN AUGUST 1, 1971 (Bang11) 「SAD-1/2」のプレートでのプレス仕様は他にもいくつか発見されている。スタンプ・カバーもあるが、このBang11ではスリックとミメオグラフ印刷されたホワイト・カバーである。

↓写真下:上段は「Jimi Hendrix Experience / Eric Clapton - Ginger Baker, John Mayall - Jack Bruce (XCQ-4A/B)」、曲のタイトルのみミメオグラフ印刷されている。下段は「Neil Young / Rocky Mountain Review (NYB1-A/B)」だが、ミメオグラフ印刷部分には「NEIL YOUNG LIVE AT THE UNIVERSITY OF COLORADO, CONCERT AT BOULDER」とタイトルされている。

1~3までのミメオグラフ印刷と4の「SHEA STADIUM LIVE STEREO(SHGO4」を見比べていただきたい。

どう見ても、色とその濃さなど、印刷された状態から、すべて同一のやり方で印刷されたものといえるだろう。つまりSHGO4にあるミメオグラフ印刷もCBMによって印刷されたと断言できるのではないだろうか?

次のセクションでは、残る5番目のミメオグラフ印刷された代表例である、CBM盤「Beatles /  Don't Pass Me By」について深く解説していきたい。



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                                                                                                       (ミメオグラフ印刷された CBM盤「Don’t Pass Me By」)


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