ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Stories 6  (ストーリーズ 6)   

How did "CBM" get its start? (CBMはいかにして誕生したか?)

Stories 6₋9   セクション  9          Double Rings Of Waddell  Part.1 (ワデルのダブル・リング・パート1)


Get Back To Toronto

     遅ればせながらセクション1より何度も登場している「Get Back To Toronto」についてその詳細を解説していきたい。

 Get Back To Toronto は数回にわたりプレスが行われたと推測され、カバーも変わっていった。まずカバーをもとに分類していきたい。なお、既に livedoor-Blog にてリスト済みなので()内の通し番号とそのリンクを参照していただきたい。

GTRO1からGTRO8まで、これらのマトリクスはすべて同一で以下の通り。

マトリックス: IPF-1-A  ST S-2142 /  IPF-1-B S-2143 

 まず最初に出回ったGTRO1(写真上)はスタンプカバー盤で、ホワイトカバーに「Get Back To Toronto」と「High-Quality Stereo」の文字がブルースタンプされている。5月にロンドンで出回ったコピー盤(GTRO9)はおそらくこのGTRO1からコピーしたため「High-Quality Stereo」の文字がカバーにプリントされたと推測できる。

次にGTRO2及び、GTRO3はセクション5で明らかにしたLRSのカバー写真を利用し、そこにタイトルやピースマーク、曲目などをブラックプリントしたもの。GTRO2ではカラー写真を使用しているがGTRO3では青と黒の2色刷りとなった。どちらもインナースリーブにTempo Recordsのものを流用している。

(←写真 左:GTRO2  右:GTRO3

GTRO4~7までは、スタンプの色に違いはあるものの、同一のスタンプ・カバーで、「THE BEATLES GET BACK TO TORONTO STEREO」というゴム印スタンプが使用されており、GTRO1のそれとは異なっている。GTRO4以降のプレスにはTempo Recordsのインナー・スリーブはついていないGTRO1は1970年2月から3月頃にプレスされたことがわかっており、GTRO2以降はその後と考えられるが、GTRO1~GTRO5までのディスクには大きな共通点があり、ディスク・レーベルの形状が、Side 1/2両面とも、すべて同一の73mm直径の円形ステップ・タイプである。GTRO6は、カバーの仕様がGTRO5と同じであるにもかかわらず、ディスク・レーベルの形状は幅のある深溝タイプの円形となっている。

←写真上段 左:GTRO4  右:GTRO5

 写真下段 左:GTRO6  

 右:GTRO6のディスク・レーベル形状


↑(写真上)上段:(GTRO7) 下段:(GTRO8

 写真上のGTRO7とGTRO8ではディスク・レーベルの形状に大きな変化があらわれる。GTRO8のカバーはGTRO4~7までと同じスタンプで、ブルーで押されているのだが、GTRO8は全く異なる小さめの「GET BACK TO TORONTO THE BEATLES」の文字がブラックでスタンプ押しされている。そしてこれらディスク・レーベルの形状はSide Aが直径73.0mmと92.0mmの2つの円形ステップよりなっている。つまりこの2つのプレスは、ほぼ同時期であったと考えられる。


Waddell Plant

 GTRO7と8に認められた、円形ステップが2つあるディスク・レーベルの形状は、あるプラントにみられる、通称ダブル・リングと呼ばれる特徴的なレーベルであるかとがわかっている。

 それはカリフォルニア州バーバンクにあるH.V. ワデル(Waddell)社というプラントのプレスであり、ある特定の時期に使用されたプレス機によって、作られたレーベルの形状なのである。Discogsのウェブ・サイトによると、ワデルのプラントでのプレスにおいては、前述のダブル・リングという形状は1960年代後半から1970年代にかけ、認められるものとしている。

 H.V. ワデル社は1953年に操業を開始し、80 年代半ばに操業を終了しているが、その間MGMやLONDONなどメジャーなレーベルもプレスしてきている。このワデル社の名前は TMOQ 創設時の話が書かれているK氏のブログの中でも登場する。Rolling Stones初のブートレッグ「LiveR Than You'll Ever Be」の最初のプレスはこのワデルのプラントで行ったものだった。また、BEATLESの「Renasissance Minstrels Vol.1 & 2」のいきさつに触れ、DONOVANの「Reedy River」とともに、これらのプレスもワデルのプラントで行ったとも書かれている。

「LiveR Than You'll Ever Be」のプレスに関しては、K氏らがワデルのプラントに行ったとき、同じ工場内のすぐ隣で「Let It Bleed」のプレスを行っていたことを知らされたという驚くようなエピソードも語られている。

←写真:ワデル社の広告(1971年3月27日付ビルボード誌より)

写真:LiveR Than You'll Ever Be のファースト・プレスはスタンプ・カバー盤で、レーベルには「LURCH RECORDS」「THE GREATEST GROUP ON EARTH」とプリントされ、73mmの円形ステップの形状となっている。

↑写真上 上段:Reedy River   下段:Homogenized Beatles 

 K氏のブログでは、ドノバンの 「Reedy River と Renaissance Minstrels 」と書かれてあるが、正確にはRenaissance Minstrels ではなく、Homogenized Beatlesのことを指していると思われる。Reedy River とHomogenized Beatlesは、どちらもホワイト・カバーにステッカーを張ったタイプのフロント・カバー。同時期に制作・プレスされ、ディスク・レーベルはホワイトで73mmの円形ステップとなっているが、なぜか Reedy River の方だけレッド・カラーでプレスされた。

↑写真上:上段が Renaissance Minstrels Volume 1 、下段が Renaissance MinstrelsVolume 2 

 Homogenized Beatles の後、K氏は改めてマスターを作り直し、エド・サリバン・ショーを収録したレコードと共に、Renaissance Minstrels Volume 1 及び、Volume 2 というタイトルでプレスした。これらもワデルのプラントが利用され、Side A/B面共にディスク・レーベルの形状がダブル・リングとなっている。

 

  このセクションでは「GET BACK TO TORONTO」と、1970年から71年ごろにかけてのワデル・プラントでプレスされたいくつかのブートレッグを解説したが、次のセクションではワデルでプレスされた正規リリースのレコードをリストし、このセクションでのブートレッグがワデルでプレスされたという整合性を図りたい。


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