ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Stories 6  (ストーリーズ 6)   

How did "CBM" get its start? (CBMはいかにして誕生したか?)

Stories 6₋8 セクション8   New Facts Came From "Raid By FBI 1979"

                              (最大規模の強制捜査」から出てきた新事実


 当初、私はGet Back To Toronto と Shea The Good Old Days にLRSのカバーが使用されていたという事実を知り、それは前セクションで紹介した「Fapardokly」のカバーのような形で利用されたものだと思った。

 つまりブートレッガー側がLRSで制作されたジャケットを購入し、ブートレッガーがそのカバーに必要なタイトル等をプリントしたのではないかと考えたのだ。

 しかし、その見方は甘かった。どうやら、LRSの内部にブートレッガーに加担した人物がいた可能性が高い。

 それはストーリーズ4の「最大の強制捜査」というセクションがあるが、そのセクションのストーリーをまとめるにあたって資料に目を通していた時、「やはりそうだったのか」と思わせる記事の記述を発見したのである。

    参照 → ストーリーズ 4  「デッカ・テープス 総論」                                       Section 9 最大規模の強制捜査 ( Raid by FBI and the largest sound recording seizure

それは1980年12月27日付のビルボード誌に掲載された内容だった。

 下の写真は1980年12月27日付(赤矢印)のビルボード誌。この時はVickyに判決が下された直後の記事で、かなりの紙面を割いて裁判の内容を伝えている。 注目すべき部分は、裁判の中でFBIが証言した内容という形で掲載されていた。それはLRS(Location Recording Service)のある人物が1978年2月にFBIのエージェントに語った内容であった。


← 写真:記事中のLRS(Location Recording Service)に関する部分の抜粋。実名箇所と、具体的な住所の部分には黒塗りした。

 上の写真にある問題の記事の内容だが、およそ以下の内容である。

(注:Vicky Vinylの実名部分は「Vicky」とした。LRSの人物に関しては「X」とさせていただいた、また、黒塗りした住所はLRSのレコード・レーベルにプリントされている住所と同一のものであることを確認している。

Vickyは、ロケーション・レコーディングスの「X」に、デヴィッド・ボウイの「Thin White Duke」LPのジャケット2,500枚とラモーンズのジャケット1,500枚を注文した。 (住所) Burbank Blvd. バーバンク、「X」はそのように1978年2月に捜査官に語った。

 私は、この記事に掲載された人物「X」を調べたが、やはりLRS内の、それなりの役職についている人物であったことがわかった。そしてこの記事中の表現からすると、その人物はビジネスとして、Vickyからの注文を受けカバーを制作したということになる。

ではそのカバーにもLRSがリリースしたレコードがあるのだろうか?

調べてみるとレーベルはLRSではないものの、やはり見つかった。


←写真 上段:David Bowie / Thin White Duke

このカバーでのリリースは1977年頃、ディスク・レーベルはVicky Vinylの代名詞的レーベルである「Idle Mind Production」だった。




←写真 下段:Randy Richardson / A Country Called Heaven

定かではないが1970年台前半にプレスされたようである。(プレスはカリフォルニア州サクラメントのプラント)特にレーベル名は無く、ほぼ自主製作に近いアルバムのようだ。前セクションで紹介した「Fapardokly」のケースと同様であろう。

上の写真は上段がDavid Bowie / Thin White Duke で下段は「Randy Richardson」の「A Country Called Heaven」というアルバムである。およそ1971~72年頃のリリースであることがわかった。もとになったカバーは全く同じものでVickyのオーダーにおいては、制作者「X」が David Bowie / Thin White Duke のタイトルや曲目等をほぼ同じスタイルでプリントしていることがわかる。下段の「A Country Called Heaven」というアルバムは自主製作に近いもので、おそらく前セクションでの「Fapardokly」も自身のレーベルだったように、同様のプロセスで制作された同様のケースとみてよいだろう。

 となるとまず間違いなく、制作者「X」はそれがブートレッグであったことは知っていたはずである。

 ではこの1978年の一件からさかのぼること8年前の、1970年における Get Back To Toronto と Shea The Good Old Days のカバー制作はどうなのだろう?残念ながらそれに関してのエビデンスはないものの、1970年にこの人物とブートレッガーの間に築かれたビジネス関係が、1978年にも復活したという可能性が高い。

 Vickyは1970年当時まだブートレッグの世界にはいなかった。となると、その人物とVickyの間にその仲を取り持った、1970年から78年へとつなげる人物(達)がいたはずである。それは言い換えるならば、1970年においても、そして1978年においても、LRSとの関係性をつなぐ人物、そしてその人物はVickyの身近にいたはずである。

 それを可能にするには最低2人必要になるだろう。およそ察しはつく。このストーリーズを最後まで読んでいただければ読者の皆さんの頭の中にも浮かび上がるであろう・・・