ビートルズ・ブートレッグ55年目の真実

Stories 6  (ストーリーズ 6)   

How did "CBM" get its start?  (CBMはいかにして誕生したか?)

Stories 6 -5 セクション5     「S-」Number Bootlegs (S-ナンバーのブートレッグ)


     このセクションでは、ブート・コレクターであるなら見たことあるであろう「マトリックスにS- ナンバーがある」タイプのブートレッグをリストする。もちろんこれらの正確な制作、またはリリース時期はわからない。(順番はS- ナンバーの若い順から、およそリリース時期の手がかりとなるコメントを加えた。)

  また、S-ナンバーのブートレッグにはFakeが存在する。いくつかのタイトルにおいて、DittolinoはオリジナルのS-ナンバー・ブートレッグのコピーを制作し、マトリックスも似せて書いた。また場合によってはディスク・コピーし、再度Rainboでスタンパーを制作したケースもある。「Beatles / Shea The Good Old Days 」においてはもともと「SHEA-1/2」のレコードからDittolinoはディスク・コピーし「SHEA-1/2 △ S-2531/2」というスタンパーを制作した。

 参照→ Dittolinoの台頭 SHEA THE GOOD OLD DAYS / LAST LIVE SHOW(HOLLYWOOD BOWL LIVE / Phase 3)


1. Rolling Stones / Liver than you'll Ever Be(Matrix)S-2110 SIDE-1 /S-2111 SIDE-2 オリジナルTMOQの同タイトルよりコピーされ作られたブートレッグ。オリジナルは1969年11月末に出回ったとされているので、それ以降のリリースになるだろう。

↑写真上:最初にS-ナンバーでプレスされた「LIVER THAN YOU'LL EVER BE」、オリジナルTMOQ盤からののディスク・コピーである。

↓写真下:Dittolinoが再発したものは、新たなスタンパーを作り直したFakeのS-ナンバー。よく見ると、上記マトリックスの筆跡や書き方とは異なっているのがわかる。


2. Crosby, Stilsh, Nash & Young / Wooden Nickel   (Matrix) XYZ-123 A/B S-2179/80    2020年のWizardoの証言からこのレコードはHHによるものだと明かされている。そしてHHがブートレッグ業界に参入したのはRubber Dubberの後を追ってだったとも語られている。Rubber Dubber のブートレッグで最も初期の録音は1970年4月下旬。そして1970年7月4日のビルボード誌には「Wooden Nickel」についての記事が掲載されていることから、1970年5月から6月のプレスと思われる。


3. Jethro Tull / My God!(Matrix)S-2253-A/B 1970年4月19日のコンサートを収録してあるので、それ以降にリリースされたと考えられる。


4. Crosby, Stills, Nash & Young  / Live At The Los Angeles Forum 6-26-70(Matrix)S-2282 / S-2283 / S-2284 / S-2285 タイトルの通り1970年6月26日のコンサートを収録しているので、それ以降のリリースと考えられる。

5. Led Zeppelin / Live On Blueberry Hill  (Matrix)S-2321 / S-2322 / S-2323 / S-2324  オリジナルはTMOQのBlimp盤であり、これはそのオリジナル盤よりコピーされ作られた。TMOQ盤は1970年9月にリリースされた説が有力なのでそれ以降となる。

後にDittolinoは、リイシュー盤を制作した。下記のDittolino盤を見るとSide 1に関しては上記のものと同一のスタンパーを使用しているが、Side 2~4までは新たなスタンパーを制作しており、「ZEP-2 △  S-2551 / ZEP-3 △ S-2552  / ZEP-4 △ S-2550」となっている。


6. Jethro Tull / Flute Cake (Matrix)FC-8888-A S-2585 / FC-8888-B S-2586 1970年10月19日のコンサートを収録してある。このタイトルに関しては、確実視される制作時期について下記に説明した。 

以上6タイトルを分析対象としてリスト・アップした。

  さて、冒頭でこれらブートレッグの制作時期はわからないと書いたのだが、最後の「Jethro Tull / Flute Cake」は制作時期を知るための重要な証拠が存在する。2018年のEbayオークションにメタル・スタンパーが出品されたのである。そこにはいくつかの写真が掲載された。確かにマトリックスは「FC-8888-A S-2585 / FC-8888-B S-2586」と同じものだったのだが、注目すべきはそのスタンパーが入っている茶色い紙袋の写真だった。その紙袋の表面右上には黒のマジックで「RNBO S-2585」と書かれており、まさにRainboプラントで製造されたことを示していた。さらに左上にはレコード番号の「FC-8888」と、その下には「8 25 71」と書かれている。つまりこのスタンパーの制作日が1971年8月25日であることを表していたのだ。このオリジナル・スタンパーは後にWizardoグループの手にわたりマルチ・カラーでプレスされた(写真下)、つまりスタンパーはWizardoグループから流出し、コレクターの手に渡っていったと思われる。

  よってこのJethro Tull / Flute Cake」に関しては前セクションで取り上げた、制作時期が判明しているレコードと同等のと取り扱いにする。

 下に前セクションでリストしたレコードと上記ブートレッグをS- ナンバー順に並べてみた。 赤色のタイトルは時期が判明していることを示す。(S- ナンバーはSide Aのみを記載、それ以外のマトリックスは省いた)


S-2110  Rolling Stones / Liver than you'll Ever Be  1969年11月以降?

S-2131 BEATLES / Get Back(Lemon) 1970年2月~3月リリース

S -2142 BEATLES / Get Back To Toronto 1970年3月~4月リリース

S -2144 Charles Manson / LIE: The Love And Terror Cult 1970年3月6日リリース

S-2179 Crosby, Stilsh, Nash & Young / Wooden Nickel  1970年5月~6月頃?

S-2253 Jethro Tull / My God! 1970年5月以降?

S-2230 La Wanda /  Mutha Is Half A Word  1970年6~7月リリース

S-2282 Crosby, Stills, Nash & Young / Live At The Los Angeles Forum 6-26-70 1970年7月以降?

S-2321  Led Zeppelin / Live On Blueberry Hill  1970年9月以降?

S-2420 Richard Pryor  /  "CRAPS"   1971年3月上旬リリース

S-2585 Jethro Tull / Flute Cake 1971年8月25日スタンパー制作



さてこれらの「S- ナンバー」を考えていくと、ひとつの規則性がみえてくる。ほぼ、1か月に25~26枚のペースでプレスされ、S- ナンバーは増加していっている。

 S-2131、S-2144、S-2142 から考えると、S-2110はおそらく1970年1月下旬から2月初旬であろうか。

ここで制作時期が確実視されているS -2144をもとに簡単な数式をつくってみた

(「S ナンバー」 - 2144 )÷25.5 + 1970年3月

つまり、S-2144との差を1か月に制作されている枚数分で割り、そこに制作月を足すというわけである。

では、この数式にS ナンバー」を当てはめて、得られた結果を上記リストに追加すると次のようになる。

グリーンの太字〈内が数式によって導き出された結果である

S-2110  Rolling Stones / Liver than you'll Ever Be  1969年11月以降?   〈1970年1月下旬から2月〉

S-2131 BEATLES / Get Back(Lemon) 1970年2月~3月リリース    〈1970年2月〉

S -2142 BEATLES / Get Back To Toronto 1970年3月~4月リリース      〈1970年3月〉

S -2144 Charles Manson / LIE: The Love And Terror Cult 1970年3月6日リリース

S-2179 Crosby, Stilsh, Nash & Young / Wooden Nickel  1970年5月~6月頃?    〈1970年4月中旬〉

S-2253 Jethro Tull / My God! 1970年5月以降?               〈1970年7月〉

S-2230 La Wanda /  Mutha Is Half A Word  1970年6~7月リリース     〈1970年6月中旬〉

S-2282 Crosby, Stills, Nash & Young / Live At The Los Angeles Forum 6-26-70 1970年7月以降?〈1970年8月下旬〉

S-2321  Led Zeppelin / Live On Blueberry Hill  1970年9月以降?     〈1970年9月下旬から10月上旬〉

S-2420 Richard Pryor  /  "CRAPS"   1971年3月上旬リリース      〈1971年2月〉

S-2585 Jethro Tull / Flute Cake 1971年8月25日スタンパー制作       〈1971年8月上旬〉

Wooden Nickelと最後の2ケースであるCrapsとFlute Cakeに多少のズレは認められるが、ほぼ、当初の推察通りの結果になったと言えよう。

 もちろん、毎月決まった数字でプレスされているわけではないので、月によっては多い、あるいは少ないプレスもあっただろうから±1か月程度の誤差は生じるかもしれない。またプレス時期とマーケットに出回った時期がきっちり一致するわけでもないので、この程度の誤差は許容範囲内ではなかろうか。


 上記で得られたデータをもとに他のS- ナンバー・ブートレッグも分析してみることとした。というのも上記はRainboプラントでプレスされたS- ナンバーのブートレッグは一部でしかない。他にも発見されている。

 1970年から1971年という時期においては、ある2つの有名なBeatles ブートレッグ・タイトルをリストしなければならないだろう。その2つのブートレッグは奇しくも同じタイトルである。

次のセクションではそのブートレッグを取り上げる。


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                                                                                                  S-ナンバーから浮かび上がる意外な事実)

                                                                    

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